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精神障がい者への交通費助成を求める陳情 [市政の話題]

一週間のご無沙汰でした。

6月の議会のご報告、まだお伝えしていないことがありました。

「江別市の精神障害者のための交通費助成を求める陳情書」が、市民団体から提出されていました。
この陳情は、生活福祉常任委員会に審査が付託され、結果としては趣旨採択という事実上の不採択になってしまいました。

同趣旨の陳情は、これまで江別市議会に10年以上にもにわたって毎年のように提出されており、陳情者が訴えている通り、身体障がい者や知的障がい者に実施されている運賃割引が精神障がい者には行われていません。
国は、平成24年に「一般乗合旅客自動車運送事業標準約款」を改正し、交通事業者に対し、精神障がい者にも運賃割引を行うように働きかけた経緯もありますが、いまだに実現していません。

そこで、まずは江別市として実現するようにと求める陳情なんです。

これに賛成し、陳情を採択すべきだとしたのは、私たち日本共産党議員団と改革江別無所属の会でした。

他の会派は、趣旨採択ということでした。
前にも説明したように、趣旨採択は、願意は妥当であるが財政事情等により実現不可能な場合にとる方法です。
もちろん、請願・陳情の意思決定は、本来は「採択」か「不採択」しかなく、「趣旨採択」は便宜的な方法で乱用してはならないといわれています。

ところで、この陳情の内容が本当に実現不可能でしょうか?

委員会の審査の中で、「障害者タクシー利用料金助成制度」は精神障がい者の利用が少ないことが示されていて、その不用額分の活用なども含めて総合的に検討する余地があることが見えてきています。

そこまで到達しているなら、陳情を採択して、行政に本腰を入れて検討させるのがスジだと思います。

定例会最終日の本会議での討論は、日本共産党議員団からは私が行いましたので、その原稿を貼り付けておきます。
なんとしても実現させたいです。

陳情第4号 江別市の精神障がい者のための交通費助成を求めることについて、採択すべきとの立場から討論いたします。

本陳情と同様に、精神障がい者への交通費助成を求める陳情は平成13年より幾度となく提出されてきたものであり、精神障がい者の置かれている状況について当市議会として理解を深めてきたところです。

平成18年に施行された障害者自立支援法では、それまでの支援費制度から、身体障害、知的障害に精神障害も対象に加え、三障害の一元化ということがうたわれましたが、交通運賃割引については、精神障がい者は対象外のままとされてきました。その後、当事者や関係団体等のねばり強い運動で、平成24年、国土交通省の「一般乗合旅客自動車運送事業標準約款」改正によって、精神障がい者も、身体障がい者や知的障がい者と同様に運賃割引の対象となり、また、平成26年1月、国は障がい者が差別なしに社会保障を享受する権利を認める国連の「障がい者の権利に関する条約」を批准するなど、障がい者を取り巻く環境は大きく変化してきました。しかしながら、約款の改正が交通事業者に強制力を持つものではないため、現時点においても当市にかかわる交通事業者等においては、精神障がい者は運賃割引の対象外のままとなっています。

かねてから、精神障がい者が置かれている経済的状況が厳しいことは十分認識されているところであり、さらに今回の委員会審査において提出された精神障害者福祉手帳所持者の所得等の資料からも、多くの方が生活保護世帯や低所得者層であり、主として障害年金で生計を立てていることがうかがえ、今まで以上に厳しい状況にあることが示されています。

しかも精神障がい者が地域で暮らし続けるためには、病状の確認と服薬の継続のために定期的な通院は欠かせないものであり、また、社会復帰施設等への通所などの努力もされていますが、そのための交通費負担が重たいものであることは十分理解できるものです。
当市においてはこれまで、交通運賃割引について、市内事業者への申し入れがなされ、その内容についてもお聞きしてきたところですが、標準約款改正による運賃割引に対し国からの支援は一切なく、あくまでも各事業者の判断と負担によるものとされています。

移動の支援ということを考えたとき、本来は市町村の範囲で対応するのではなく、国や北海道など広い範囲で対応することが現実の場面に照らしても適切なものであることはいうまでもありませんが、それが実現していない以上は、最も身近な自治体から実施することが求められると考えます。

陳情の中で示された旭川市においては、昨年度まで精神障害者保健福祉手帳所持者に対し年間3,000円分のバス券またはバスカードを交付していたバス料金助成事業を、今年度からは障害者バス利用促進補助金として市内でのバスの乗降について現金での支払い時に半額となる方法での助成方法に切り替え、減額分をバス事業者に対し補助金として交付することとしています。このことに係る予算は、前年度のバス料金助成事業では431万7千円、今年度のバス利用促進補助金では578万8千円とのことであります。

当市においてどのような手法が適切なのか、検討する必要はあるかと思いますが、いずれにせよ精神障がい者が他の障がいと同様に運賃割引を求めることは道理のあることであり、置かれている状況を考えるなら具体的な検討を始めることが求められるものと言えます。さらに障がい者タクシー利用料金助成事業の利用状況では、三障害全体の利用率は67%程度であり、身体障がいは増加傾向の一方、知的・精神については減少傾向であり、この状況について検証を行い、個々の障がい特性に応じた支援方法の検討や、不要となる予算を精査し、「障がい者の移動の確保」という政策的な観点から総合的に検討することも求められます。

本陳情については趣旨採択ということも言われていますが、趣旨採択とは願意は妥当であるが費用の面などで実現性の確信が持てない場合にとられる方法であります。しかしながら本陳情の内容は、市内バス路線維持のための補助のあり方なども含め、積極的な姿勢で検討する中で実現させることは可能であると考えるものです。

以上のことから、本陳情は採択すべきものであることを訴え、討論といたします。

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